皆さんこんにちは、らく~だです。
ディーゼルが良いのかガソリンが良いのか、これはハイエースを購入検討する際に誰もが必ず通る道です。一部のグレードではどちらか片方しか選べなくなっていて迷う必要は無いのですが、その他はグレードごとにガソリンとディーゼルが選択できるようになっていて、性能や価格等メリット・デメリットにかなりの差があり、最後までどちらにするか迷います。
また、ディーゼル車に乗りたい、ガソリンがいい等、エンジンをターゲットにグレードを決める場合、必要なサイズのグレードがラインナップとして存在するのか確認しなくてはいけません。
今回はディーゼルが良いのかガソリンが良いのか、ガソリンにするのかディーゼルにするのか、ガソリン車やディーゼル車の特徴と選択方法について記事にしてみました。
ハイエースのエンジン
ハイエースに搭載されるエンジンの種類について基礎知識が無い方のため、前段としてどのような種類があるのか説明しておきます。
ハイエースのエンジンは主に3種類あり、それぞれの種類において選択できるグレードがあります。主にガソリンの排気量違い2種類、それにディーゼル1種類。ディーゼルはモデルチェンジをえて排気量やスペックが変わってきていますが同時販売されているのは1種類のみです。
ガソリンエンジン(2.0L 1TR-FE、2.7L 2TR-FE)
こちらがガソリンエンジンの1TR-FEと2TR-FE。それぞれ2.0Lと2.7Lの排気量は違いますが外観はほぼ同じ。
それぞれの排気量のスペックは下記表のようになっています。
項目 | 1TR-FE | 2TR-FE |
排気量 | 2.0L(1.998cc) | 2.7L(2.693cc) |
最大出力/回転数 | 100kw(136ps)/5,600rpm | 118kw(160ps)/5,200rpm |
最大トルク/回転数 | 182N・m(18.6kgf・m)/4,000rpm | 243N・m(24.8kgf・m)/4,000rpm |
2.0Lと2.7Lで排気量にもかなりの差があり、出力ももちろん2.7Lの方が高いのですがハイエースを快適に乗る上で重要なのが最大トルクとそのトルクを発生させる最低回転数です。
一般的な普通車と比べ車体が重く、また荷物をたくさん積む事が想定されるためいくら最高出力があってもトルクが無かったり最大トルクの発生回転数が高いと結果的に「ぶん回す」必要が出てきます。ぶん回さないと加速しないという事は、もちろんエンジンの騒音も大きくなりますし、振動することにもなります。”無理してる感”が出て想像以上にストレスに見舞われます。
この二つのエンジンでは最大トルクの差が25%程度の差があり、2.7Lのエンジンの方がトルクが高いので余裕をもった走りができることになります。
ディーゼルエンジン(2.5L 2KD-FTV、3.0L 1KD-FTV、2.8L 1GD-FTV )
お次にこちらがディーゼルエンジンの1GD-FTV。
実際に初期型から現行まで3種類のディーゼルエンジンが存在していますが、ここでは現行の1GD-FTVのみのスペックを掲載します。
項目 | 1GD-FTV |
排気量 | 2.8L(2,754cc)ターボ |
最大出力/回転数 | 111kw(151ps)/3,600rpm |
最大トルク/回転数 | 300N・m(30.6kgf・m)/1000-3,400rpm |
これを見ておわかりでしょうか?ガソリンの2.7Lと比較最大出力は劣るのですが、トルクは圧倒的に高くしかも最大トルクが1000rpm-3400rpmと最低1000rpmから最大トルクを出すことができるスペックになっています。
つまり、エンジンの回転を上げずに、重い荷物を載せていてもグイグイ加速してくれるという事になります。トルクに関してはターボが付いているというところが大きいですね。むしろ、この排気量のディーゼルエンジンでターボが付いていないと最大出力トルク共にかなり低く、かったるい加速しかしないと思います。
それぞれのエンジンを選択できるグレード
ハイエースであれば、どのグレードでもすべてのエンジンを選択できるわけではなく、グレードごとに選択できるエンジンが違います。
正しくはボディサイズと駆動方式(2WDか4WDか)ごとに選択できるエンジンが変わっており、マトリクスにしたものが下記になります。
グレード | ガソリン(2.0L) | ガソリン(2.7L) | ディーゼル (2.5L、3.0L、2.8L) |
標準ボディ・標準ルーフ2WD/4WD | ● | ● | |
標準ボディ・ハイルーフ 2WD/4WD ※DX/GLパッケージのみ |
● | ● | |
ワイドボディ・ミドルルーフ 2WD ※スーパーGLのみ |
● | ● | |
ワイドボディ・ミドルルーフ 4WD ※スーパーGLのみ |
● | ||
スーパーロング・ハイルーフ 2WD ※スーパーGL以外 |
● | ● ※コミューター/DX/GLパッケージのみ |
|
スーパーロング・ハイルーフ 4WD ※スーパーGL以外 |
● | ● ※4型後期(5型)以降のDX/GLパッケージのみ |
ボディサイズと駆動方式(2駆か4駆か)の組み合わせによる、エンジンルームのスペースや車体重量により搭載できるエンジンに制約があるようです。具体的には、標準ボディのグレードには2.7Lのガソリンエンジンを選択することができず、ミドルルーフ/4WDのグレードにはディーゼルエンジンを選択することができないです。
いろいろな情報を調査した上での筆者の推測に過ぎないのですが、標準ボディのグレードはエンジンルームのスペースがワイドボディに比べ狭いため、サイズの大きい2.7Lのガソリンエンジンが搭載できず、ミドルルーフ(スーパーGL)は装備重量が重く、それぞれ重量の重くなる4WDとディーゼルエンジンを組み合わせると構造・税制上等の問題が出てくるということみたいです。
ちなみに、ミドルルーフよりも車体サイズの大きなスーパーロング/ハイルーフですが、コミューター/DX/GLパッケージで装備重量がミドルルーフのスーパーGLより軽く、4WD+ディーゼルの組み合わせが可能になっているものと思われます。
車両重量 | 車両総重量 | |
ワイドボディ・ミドルルーフ 2WD(ディーゼル) ※スーパーGLのみ |
2,040kg | 3,165kg |
スーパーロング・ハイルーフ 2WD(DX/GLパッケージ ディーゼル) |
2,020kg | 3,145kg |
車体サイズがスーパーロングの方があれだけ大きいにも関わらず、スーパーGLのワイドボディの方が重いんですね。さらにパワースライドドアで20㎏、リアクーラー/ヒーターで10㎏、寒冷地オプションで30kgも重くなる様です。
リアクーラー/ヒーターや寒冷地オプションはどのグレードでも選択可能ですが、パワースライドドアはスーパーGLやワゴンでしか選択できません。つまり、ミドルルーフのスーパーGLとハイルーフのDXで上記車両総重量の差20kg+パワースライドドア分20kgで最大40㎏の車両総重量差があるという事になります。ここがミドルルーフ/4WDの組み合わせでディーゼルが選択できず、4WD/スーパーロングでディーゼルの組み合わせが可能な理由と思われます。
ワゴンはまた別の制約があるようでミドルルーフのグレードもスーパーロングのグレードもスーパーGLより軽いのですが2WD・4WD共にディーゼルが選択できなくなっています。
グレードやボディサイズについて良く分からないという方はこちらの記事も参考にされてみてください。
各種類のエンジンの特徴
主にエンジンの種類やスペック等を説明してきましたが、これだけではどのように判断すれば良いのかわからないのでそれぞれのエンジンを総合的に見た際の特徴を下記に述べます。
2.0リッター ガソリンエンジン(1TR-FE)
全種類中最小の排気量。おそらく、価格を抑えるのが目的のモデルでボディサイズや車両重量を踏まえると心許ないスペックと言えるかもしれません。後述の2.7Lのモデルに比べて排気量は小さいのですが、パワーが無い分エンジンの回転を上げないといけないシーンが多くなるため、2.7Lのエンジンと燃費はそれほど変わらないというのが一般的みたいです。
心許ないスペックとは言っても、ぶん回せば普通に走るのでどちらかというと「うるさい車」になるイメージで良いかもしれません。
2.7リッター ガソリンエンジン(2TR-FE)
上記の排気量を上げたもので、ワイドボディのガソリンエンジンは全てこちらになります。おそらく、ボディサイズが大きくなったことによる車両重量や積み荷重量の増加や空力抵抗等を考慮し、一定の走行性能を満たすために排気量を上げているイメージです。
2.0Lのものに比べると馬力・トルク共に大幅に向上しているので、実際は標準ボディよりワイドボディのガソリン車の方が良く走るということになります。
ディーゼルエンジン(2.5L:2KD-FTV 3.0L:1KD-FTV 2.8L:1GD-FTV)
ハイエースで一番売れているモデルはこのディーゼルエンジン搭載のモデルです。ターボ付きで、前述のガソリンエンジンよりトルクが圧倒的に勝るのでエンジンの回転数が上がるシーンが少なく加速が楽で、燃費もガソリン車より良好。さらに燃料は軽油なので単価が安く結果的に燃料費がかなり安く済みます。
欠点としてはディーゼルエンジン独特のカラカラ音や振動があること、ガソリンエンジンと比較して60万円(新車購入時)程度高くなること。
なお、エンジン音についてはモデルチェンジを重ねるごとに静かになっており、最新モデルの1GD-FTVについてはアイドル時はガソリン車より少しうるさい程度、走行時に至ってはガソリンエンジン車より静かなぐらいです。
ディーゼルとガソリンエンジン、どちらを選べば良いのかについては下記で特集記事を書いていますのでご参考ください。
1GD-FTVについては過去モデルからどう変わったのか特集記事にしていますのでご興味があられる方はご参考にどうぞ。
特徴まとめ
上記で記載した特徴を一目でわかりやすくするためにマトリクスにするとこうなります。
項目 | ガソリン(2.0L) 1TR-FE |
ガソリン(2.7L) 2TR-FE |
ディーゼル(2.8L) 1GD-FTV |
車体価格 (初期コスト) |
◎ | ◎ | △ 約60万円高くなる |
加速 | △ | 〇 | ◎ |
騒音 | △ | 〇 | ◎ ※ディーゼル特有のカラカラ音。3型以前のディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりカタカタうるさい |
燃費(km/リットル) | △ 市街地6~7 郊外・高速:8~9.5 単価 140円/リットル |
△ 市街地6~7 郊外・高速:8~9.5 単価 140円/リットル |
◎ 市街地7~9 郊外・高速:10~12 単価 120円/リットル |
ディーゼルエンジンはガソリン車と比較して性能面では全て凌駕していますが、車体価格が高くなるので初期コストがかかる感じ。
騒音に関しては比較的新しい目(4型以降)のディーゼルは上記記載通りガソリン車よりも静かですが、3型以前はディーゼル特有のアイドリング時のカタカタ音と加速時のガーという音がかなり大きくガソリン車よりうるさいし振動もあります。4型後期の1GD-FTVについては画期的に静かになっています。
実際にどう選べば良いのか
ズバリ言います。4型以降のハイエースを購入する場合、目的のグレードでディーゼルが選択できて予算が許すのであれば、是非ディーゼル車を検討してください。何故かって!?これから単純明快に説明します。
1.エンジンの総合的な性能がディーゼルの方が高い
先ほどのマトリクスでも記載しましたが、最高出力・トルクなど動力性能が高くて圧倒的に運転しやすいです。騒音に関しては4型以降はディーゼルの方が低いと書きましたがアイドル時に限り4型であればガソリン車の方が静かなのとやはりディーゼル独特のカタカタ音はあるので一度試乗してみることをおススメします。4型後期(5型)に関してはアイドル時も静かで普段高級車のみに乗られている方で無い限り極端な不満を覚える事は無いと思われます。
2.購入時は60万円高いが長期的に見たらディーゼルが安い
これも色々なサイトで議論されるところですが、筆者視点で試算するとほぼ全ての方でディーゼル車の方が安くなります。購入時はガソリン車より60万円高くなりますが、ディーゼル車は燃費が良くて燃料も軽油で単価安いので数万km走ると差額分がペイできる計算になります。
購入資金の差額と燃費でみたランニングコストの推移を見える化してみました。実際には購入時の取得税の減税額に差があったり、税金や保険代等、ランニングコストも細かな差がありますが全体的なコストを見る上では大きい値では無いので「購入時の金額」と「燃料コスト」というところに絞り試算しました。
基準となる購入価格と燃料コストは下記の様な前提にしてみました。
ガソリン | ディーゼル | |
購入費用 | 0 | +600,000円 (ガソリン車をベースとして差額を記載) |
燃料単価 | ガソリン 140円/リットル |
軽油 120円/リットル |
燃費(km/リットル) | 8km/リットル | 10km/リットル |
1000km走行当たりの燃料費用 | 17,500円 | 12,000円 |
3000km走行当たりの燃料費用 | 52,500円 | 36,000円 |
売却分 | 0 | -200,000円 |
購入費用はメーカーサイトで見積もっても代替60万円前後の差額になります。燃料単価については2019年6月27日現在の相場より少し高めに設定してます。燃費はインターネットで情報を集めたものを統計して、市街地7田舎道・高速3の割合で走行した場合の平均燃費を割り出しています。
あとはさらに、最終的に乗った車は買い替え、または売却すると思いますが、下取りや売却の際にはガソリンとディーゼルで15万円~30万円ぐらい売却価格に差が出ますのでこれも中を取って20万円の差額でみています。
この時点でおわかりでしょうか。購入価格や売却価格はもちろん、ガソリンとディーゼルでは燃費と燃料単価双方に開きがあるので、走行を重ねると結果的に燃料コストが大きく違うということになります。
実際にひと月に1,000km程度の走行したの場合コスト試算がこちらです。
購入時の差額から売却時の差額を引いた値を初期コストとしてディーゼルの方が40万円コストが高かったものが、だいたい7年目にかかる位で逆転しています。月1,000kmなので7年でだいたい80,000km少し。10万kmに満たないところでディーゼルが安くなるんです。ちなみに走行距離が若く新しい年式であるほど売却時のディーゼルとガソリンの値段差も大きくなるので、80,000km未満で車両を売却した場合もこの状況が大きく変わる事はありません。
さらにこちらはひと月に3,000km程度の走行したの場合コスト試算。
こちらに至っては2年で40万円の差額が埋まってしまいます。ガソリン車とディーゼル車で月に16500円も燃料代が違うんです。
購入費用は車両購入時に一度に必要なものだし、売却費は何時売るか決まっているわけではないし、燃料代はその都度払うもので時価なので全く同じコストとしてみることはできませんが最終的に払っている費用という観点ではデータ通りになります。
最初の60万を投資と考えるか、少しでも一時出費を抑え、代わりに長期的に見たコストが増えるのを仕方無いと見るかとも言えると思います。
ディーゼルエンジンの方が頑丈
これも明確なデータがあるわけではありませんが、ディーゼルエンジンの方が燃焼室の圧縮率を上げる必要があるという構造上の制約上、エンジンに負荷がかかるので部品を頑丈にする必要があるという事が、エンジン全体を頑丈にしている理由の一つとも言われています。
ちなみに4型後期(5型)のディーゼルエンジン(1GD-FTV)は設計耐久性が100万kmとのこと。
このあたりは別記事で詳しく書いているので、ご興味がある方は参考にされてみてください。
少なからずとも、ガソリンエンジンよりディーゼルエンジンの方が長持ちするというのが世間の一般的な認識の様です。
まとめ
先ほどディーゼルがおススメと書きましたが、裏返せばガソリンを選ぶ理由は「購入費用(+60万円)が用意できない場合」と「ディーゼルのアイドリング時のカラカラ音に耐えられない場合」のみと言い切っても良いと思います。
エンジン音を耳障りに感じるかどうかについては、個人によって感覚が違いますので実際の車両に試乗してみる事をおススメします。
差額の準備ができないと思われている方は、ハイエースを安く購入するノウハウを記事にしていますのでこちらも参考にされてください。
特に今乗られている車を下取りを考えられている方は、本記事の末尾でも紹介している一括査定サービスを利用されるとグンと買取価格が上がる可能性がありますので一度利用されてみては如何でしょうか。