皆さんこんにちは、らく~だです。
膨大に貯めこんだ商品レビューのネタ、、、。おそらくすべてを記事にするには数カ月では済まなさそうな状況ですが、少しづつでも書いていこうと思います。
今回のネタは単眼鏡の商品レビュー。
「単眼鏡って?」「なんで釣りとかキャンプに関係あるん?」と思った方は下記過去記事も参考になさってみてください。
購入に至るまで
自身は釣り場の状況を確認したり、釣り場の風景を楽しむのに釣行には必ず双眼鏡を持ち歩いています。そして、とあるタイミングで釣り用のライフジャケットを一般的なゲームベストからロックショア用のよりシンプルで薄手のものに買い換えたのですが、機動力を得た半面、収納力が落ちてしまったためこの双眼鏡を収納しておくスペースが無くなってしまいました、、、。
ジャケットや腰にポーチを追加して、、、みたいなことも考えましたが、機動性を上げるために買い替えをしているのにポーチを追加すると結局元のゲームベスト寄りになってしまいメリットがスポイルされてしまいます
そこで、他に手が無いかいろいろと検討した結果、双眼鏡そのものをコンパクトにするしかないという結論に至ったのです。
とはいうものの、今釣り用に使っている双眼鏡はポケット双眼鏡と呼ばれる売られているもので最もコンパクトなジャンルの製品で、単純な買い替えでは目的が達成できません。
そこで前から知ってはいたものの、見かけ視界や立体感に乏しいと聞いて手を出さずにいた単眼鏡に興味を持ち、本格的に導入検討することになりました。
単眼鏡に初めて触った時の事
自身が単眼鏡に初めて触ったのは確か2010年頃の事。仕事で香港に出張に行った際に香港国際空港内にLeicaブースがありそのブースのど真ん中のショーケースに飾ってあったのがMonovid 8×32。今覚えば当時、発売して間もない新製品だったんですね。自分は単眼鏡ばかりか双眼鏡も所持したことが無く、興味も無かったんですがショーケースの中に飾られている精巧な作りのMonovidに男心を擽られて、スタッフの方にお願いして覗かせてもらいました。その時の覗いた印象は「こんな綺麗に見えるんだなー!」程度で当時独身なのもあり一瞬グラっと来た部分もあったんですが冷静に考えて使わないだろうとブースを立ち去りました。
その後、今の奥さんから誕生日プレゼントとして双眼鏡を買ってもらい興味を持ち始めるのが2014年頃。そして2018年の後半にキャンプ用に32㎜の双眼鏡に手を出して、沼に足を踏み込むことに、、、。こうやって振り返ると当時、Monovidの展示品を触ったのも今に繋がる一つの要因になっているのかもしれません。
単眼鏡を購入を検討するにあたって求めていたもの
別の単眼鏡記事にも似たような内容を記載していますが、今回ご紹介する「釣り用単眼鏡」を選択するにあたり求めていたスペックは下記のようなものでした。
携帯性
ライフジャケットに付いている薄型の小さなポーチもしくは同じくライフジャケットのポケットに収納できること。(ポーチの追加などをせずに今の装備で携行できること)もとの購入の動機が収納スペースが無いことだったので、一番の要件もこれになる)
光学性能(解像度・ボケ・収差・明るさ)
現在利用している双眼鏡と同等かそれ以上の解像度・ボケ・収差の総合性能を持っていること。(小さくするために性能を大きく犠牲にすることは今回の場合は許されない)
そしてもうひとつが利用している双眼鏡よりも明るく見えること。これは携帯性を求めて単眼鏡を検討している中で出てきた追加要件で、単眼鏡ならより口径が大きいものを選択しても収納スペースが小さくなることから、朝マヅメ(夜明け前のわずかに明るんだような時間帯)の釣りで海の時化具合や釣り座に波が被っているかなどをより鮮明に確認できれば良いなというところ。
防水性
当たり前のように波(海水)を被るので、防水は絶対条件。
堅牢性
岩場での移動や利用を伴うのでできる限り頑丈な構成が良い。不意に岩場にぶつけたり落下したりすることが想定されるので筐体がラバーアーマーであることは必須。
携帯性は「単眼鏡」という名前の付くものであればほとんどの製品でクリアですし、防水、堅牢性についてはある程度の価格の製品であれば満たしているものもたくさんありますが、光学性能がかなり大きなハードルになりました。
要求事項として今の双眼鏡以上の性能と書いていますが、その双眼鏡はNikonの誇る国産最高峰のポケット双眼鏡です。それらの性能と同じか上回るとなれば、国内で販売している単眼鏡ではLeicaやツァイスなど、数えられるぐらいしかありませんが、それらはすべて口径20㎜までの美術館やオペラ―・コンサート、草花の観察にターゲットを絞った様な製品ばかり。
明るさを求めるならば32㎜以上の口径が欲しいと思いましたが、探して出てくるのはAmazonで販売されている中国製のいわば「廉価製品」で評価を見る限りコスパは良さそうでも絶対的な性能は高級品の同等とはとても思えません。
海外製品で理想の単眼鏡を見つけた
という事で国内で探していても求めているものは見つからないと、海外サイトを巡り出合ったのが今回ご紹介するVortex社のRecce(レキ―と呼ぶらしい) Pro HD 8×32になります。
※「賞月観星」という国内メーカーで要求を満たせそうな製品を見つけた(Pleasing ED Mono HR8x32WP)のですが、レビューを見ると絶賛されていたり、やはり大手製品と比べると性能が悪いとか、評価が不安定で今回はスキップすることにしました。デザインはシンプルかつ非常にコンパクトにまとめられており、「Leicaやツァイスなどの高級品を安価に、、、」を本気で目指した製品という事でコストパフォーマンスが非常に高そうなので、子供用などいつかは手を出すかもしれません。
■製品スペック
詳細なスペックはメーカーサイトに委ねるとして、ここでは要点だけ抑えて説明します。
Vortex社は狩猟や軍用の双眼鏡・スコープなどの光学機器を扱っている米国の会社で現地では大手メーカー、日本国内においても同業界やサバイバルゲームの業界では高い認知度があるようです。本製品は狩猟・軍用を軸として、その他のアウトドアアクティビティでも使用できるように考慮されている汎用性の高い製品。
おおまかな特徴としては下記のようなもの。
- フルマルチコートとEDレンズをベースとしたハイグレードな光学性能(対物レンズ口径は32㎜)
- ハードな利用を想定した堅牢性と携帯性
- 携帯用クリップ
- 厚めのラバーアーマー
- レンズの傷防止コーティング
- アルゴンガス封入とOリングによる完全防水
- 対物・接眼両レンズに紐付きのレンズカバー
要求事項である光学性能を満たした上に、本製品にしか無いと思わせるような高い携帯性と堅牢性を持ち合わせている様で、ロックショア(岩のゴツゴツした磯)での釣り用途を前提にすると他のどんな製品も薄れてしまうぐらい、用途にマッチした製品だと思わせてくれました。
また、光学性能については海外のいくつかのレビューサイトを見る限り「中心部においては最高レベル」との記載が見られ申し分無い様子。
この製品の他に携帯性と明るさでいえばよりコンパクトかつ大口径の製品(Opticron BGA 8×42 Monocular)を見つけたのですが、こちらはボディがラバーアーマーになっておらず落下=破損になると思われ、早々に選択肢から外れました。
あと、単眼鏡でデメリットとして出がちなのが視野。見かけ視界が双眼鏡よりも狭くなる傾向にあり、人によってはここがすごく気になるみたいですが本製品は実視界が7.6°あり、単眼鏡としては視界が広めの製品だと言えると思います。
てなことで晴れてこの製品の購入を決意したわけです。
開封レビュー
ここからは実際に届いた製品の開封レビューをしていきます。画像が主となりますのであしからず、、、。
実際に使用してみて
双眼鏡でも、単眼鏡でもこの手の製品の見え方や感じ方、気になるところは個人で大きな差があありますので絶対的な尺度での物言いはできませんが、できる限り第三者視点での評価を要求事項ベースでしてみました。
携帯性
これは予想通りで、双眼鏡の片側の鏡筒のみを製品にしたようなものなので鏡筒同士を繋げるブリッジの部分も無く非常にコンパクトな印象。
レンズ口径の32㎜という値からすると本体径50.7㎜、全長157㎜とボリュームのある印象ですが、それでも今まで使用していたポケット双眼鏡(Nikon HG-L8x20)と比較しても占有スペースが小さくなり、ライフジャケットのポーチにも収まりました。
また秀逸なのが、MOLLEシステムに対応しているという携帯用クリップ。これがあることにより使用中はポーチに収納せずライフジャケットの胸のバンド部に引っ掛けられるのでポーチのスペースはスマホやタバコ、ゴミを入れるようなスペースに使えます。
光学性能(解像度・ボケ・収差・明るさ)
これは予想外でしたが、中心部の光学性能について、特に解像度について使用している下記他の製品と比べても一番と言っても良いものでした。
- Nikon HG-L 8×20
- Swarovski CL Pocket 8×25
- Leica Ultravid HD 8×32
- Monovid 8×25
ボケや収差については中心部から40%~50%で微妙に確認できるようになり、この部分についてはNikon HG-L 8×20が特に優秀でその他の製品と比べてもややネガティブな印象がありましたが、これはFOV(実視界)7.6°と広くとっていることも影響していそうです。
解像度は中心部については他のものより明らかにより詳細な部分まで確認できる、といった結果になりました。これは、Ultravid HD 8×32との差は少しに見えますが、CL Pocket 8×25やHG-L 8×20との差は歴然です。
明るさはNikon HG-Lから1段上ぐらい、CL Pocketから0.5段ぐらい、Ultravid HD 8×32とは同等か少し明るく、対象物の発色は地味で好みが分かれるとこですが、この価格でこの性能が手に入るのは非常に驚きです。
接眼部を除くと対物側からの漏光はある程度あり見えにもある程度影響していると思うのですが、それにしても素晴らしい見え味です。解像度については、対物レンズの口径の影響かもしれませんがなんにしろ求めていた要求に対する性能としては満たしているどころか、期待大きく上回る内容でした。
防水性
防水性能はガス封入による5mの完全防水でカタログ上は申し分なし。Oリングによりケース内の機密を保っているとのことでより海水から守ってくれるのではと期待できます。
堅牢性
これはこの製品のもう一つの大きな特徴となりえます。レンズ径32㎜に対し本体径が50.7㎜といううことで、鏡筒はかなり厚めのラバーで覆われています。携帯性が犠牲になっているとも言えますが許容できる範囲で、利用シーンを考えると耐久性を優先するのはより賢明な選択と言えます。
また、レンズの傷・汚れ防止コーティングも強力で接眼レンズを指で少し触ったぐらいでは跡が全く付かず、対物・接眼ともに紛失しない紐付きレンズカバーが付いていて、着脱も容易。ここも素晴らしいですね。
双眼鏡と違って立体感が無い?!
これは要求事項ではありませんが単眼鏡に見る像は双眼鏡のような立体感を感じない、という話があり、実際に使用してみても双眼鏡の方が立体感や臨場感を感じる部分はありましたが、自身の用途では対象物の確認がメインであり、携帯性を捨ててまで気にするほどのデメリットとは感じなかったのが正直なところです。
※これは、筆者の右目の中心視力がほぼ無いことが要因である可能性もあります。
レティクル表示
ここまでで触れていないことがありましたが、この単眼鏡は狩猟用や軍用の光学機器でみられるような目盛り(レティクル)が覗いた際の像に表示されます。これは、見ている物体までの距離や物体のサイズを確認するためのものなのですが、景色や星空を楽しむ様な用途では使わないので主な用途がそのような場合、この目盛りが邪魔になるかもしれません。
まとめ
さて、しめくくりとなりますが今回「Recce Pro HD 8×32」を購入して分かった単眼鏡とこの製品の使用感をまとめてると、、、
- 単眼鏡への変更により携帯性を大きく上げることができる。(または携帯性を維持した上でレンズの口径を上げることにより、より明るさや解像度を得られる)具体的には、同じ口径であれば、単眼鏡は双眼鏡の2分の1以下のサイズにできる。また、例えば口径32㎜の単眼鏡は20㎜の双眼鏡より収納スペースが小さく済みます。
- 同じ性能であれば双眼鏡の約半分のコストになる。製品による性能の偏りはあれど、同じメーカーの同価格の単眼鏡と双眼鏡を比較すると単眼鏡の方が性能が高い、ということになる。
- 「Recce Pro HD 8×32」はトップレベルの光学性能(中心部)とハードなアウトドアアクティビティに耐えうる堅牢性を兼ね備えた唯一の製品
といったところでしょうか。日本国内での販売価格は5~6万円ぐらいなので決して安い製品ではありませんが、低光環境下での使用に耐えうるトップクラスの光学性能と随一の堅牢性を兼ね備えていることを踏まえればこの製品の満足度は高いと思います。